パナマ文書って騒がれてるけどタックス・ヘイブンってなんだ?

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ここのところ世間を騒がしているパナマ文書ですが、これはパナマの法律事務所「Mossack Fonseca(モサック・フォンセカ)」の過去40年にわたるタックス・ヘイブンでの取引を扱う業務内容を記録した膨大なデータの事です。

ここでタックス・ヘイブンってなんだ?って話になるんですが、タックス・ヘイブンとは租税回避地と訳され、意図的に無税または極めて低い税率にして、企業や富裕層の資産を誘致している国や地域の事をさします。

実はアメリカも海外からの投資を促進させる為に、いろいろな非課税措置や課税優遇措置を設けています。例えば国外投資家は、非居住者証明を提出すれば、銀行預金の利息に対する源泉徴収が免除されたり、株式、債券、投資信託などの売却益が非課税になるなど、こういった優遇措置によって、アメリカも世界最大のタックス・ヘイブンと揶揄されたりもしています。

ただタックス・ヘイブンの定義は多様なようで、例えばアジアの一大金融センターである香港や、暫く前に破綻騒ぎになったキプロス、タックス・ヘイブンの代名詞のように思えるケイマン諸島なんかは、一般的なタックス・ヘイブンの条件を満たすものの、OECDのタックス・ヘイブンのリストからは除外されているようです。

OECDでタックス・ヘイブンとして認定されている国や地域としては、例えば、モナコ公国、英領ヴァージン諸島、クック諸島、パナマ共和国、リヒテンシュタイン公国等々があります。

ちなみに、あくまでもタックス・ヘイブン(租税回避地)であって、タックス・ヘブン(税金天国)ではありません。僕は、昔、タックス・ヘイブンという単語を初めて聞いた時は、暫くはタックス・ヘブン(税金天国)だと思ってましたから・・・。(^^;

 

パナマ文書のデータは、現在、一般に公開され、検索、ダウンロードが可能になっています。

ICIJ releases database revealing thousands of secret offshore companies

パナマ文書掲載サイト

 

ページを少しだけ下にスクロールした文章が始まる最初の部分の「searchable database」をクリックすると、データの検索をする事ができます。

パナマ文書検索

 

タックス・ヘイブンにあるお金ってのは、誰のもので、どういった取引がされているのかってのが、極めて分かりにくいんですけど、今回のパナマ文書では、それが、晒されちゃったって事ですね。こんなふうに晒されると、タックス・ヘイブンでの取引そのものが悪いような気がしちゃいますけど、タックス・ヘイブンでの取引そのものは合法なんですよね。だから、パナマ文書に名前があるイコール不正蓄財をしているという事ではないと思います。

特に海外展開する企業などは、タックス・ヘイブンを利用すると、色々と節税が出来てしまいます。例えば、色々と細かな規定はあるみたいですけど、親会社と海外にある子会社の間に中間持株会社をタックス・ヘイブンに作ると、子会社からの受取配当金が非課税になったり子会社の株式を売却したときのキャピタル・ゲインが非課税なったりします。なので、逆に言えば、多国籍企業なんかの多くはタックス・ヘイブンを利用しているんじゃないかと思います。

 

また、優遇税制のお蔭で、タックス・ヘイブンには、世界中から金融資産と金融機関が集まってきます。世界の銀行の総取引の半分はタックス・ヘイブンを通過するらしいですから、凄まじいですよね。こうして、世界中から集まる金融機関や資金によって、高度な金融商品が開発され、さらに多額の報酬を求めて優秀な人材が集まります。

その為、日本では考えられないような金融商品、金融システムがタックス・ヘイブンには存在することになります。これにより、企業ばかりでなく個人でも、タックス・ヘイブンに銀行口座や証券口座を作って資産運用を行う人が出てきます。タックス・ヘイブンでの資産運用というと、どこか遠い世界の富裕層の人達がやることみたいなイメージがありますが、今では一般の人でも、普通に出来る事になってしまっています。取引もインターネットで全て完結してしまいますし・・・。

 

と、まあ、ここまではいいんですけど、タックス・ヘイブンでの取引は外部からは分かりにくく資金の追跡も難しいことから、脱法行為も行われやすいわけです。例えば、子会社とかではなく、全く関係ないペーパーカンパニーをタックス・ヘイブンに設立して、そこに支出します。その支出したお金は、ペーパーカンパニーにそのままプールされます。支出ですから、そのお金は税金から免れる事になります。つまりタックス・ヘイブンを利用した脱税です。実際に行う場合は、これを複雑にやるんだとは思いますけど・・・。また、犯罪組織のマネーロンダリングの温床にもなりやすいという事も、よく言われていますよね。

 

で、今回のパナマ文書では、そのタックス・ヘイブンで取引している人や企業の膨大なリストが公開されてしまったわけです。もちろん、合法な節税や運用が多いのかもしれませんが、タックス・ヘイブンの特性から、当然、脱税行為等の不法行為の可能性があるケースも多いと考えられるわけです。また、脱法とまではいかなくても、法の網の目をくぐるような、社会通念上、それは、あかんやろ!って行為もあるかもしれません。しかも、リストには超有名企業や、国のトップやその親族、有名スポーツ選手や著名人等の名前が含まれているわけで、もし、その多くが不正蓄財を行っていたとなれば、本当に世界的な大スキャンダルです。

 

大スキャンダルに発展する可能性があるパナマ文書ですが、今のところマスコミの扱いは、それほど大きいものではありません。確かに、現状、リストが出ているだけなので、なんとも言えない部分が多いと思いますし、場合によってはマスコミ自身にも火の粉がかかる問題なのかもしれませんし・・・。

 

個人的には、こういったリストを晒してしまう行為自体が、どうなんだろう?って感じもあります。でも、出てしまった以上、うやむやにする事なく、ちゃんと調べて欲しいとは思います。

でないと、庶民からはキッチリと税金をとって、さらに足りないからと増税をしている一方で、一部の巨額の脱税はお咎めなしかい!っていう不満が、やがて、状況によっては、時間をかけて、大きな社会不安に発展してしまう可能性だってあるかもしれませんから・・・。

仮に何も脱法行為が無かったととしても、そう多くの人に思われる事自体が、社会に対する不満の温床になっていく可能性があるわけで、その辺をはっきりとさせた方が良いような気がします。極端な話、中国のように、パナマ文書っていう単語の検索さえ出来なくしてしまうなんてのは、確信犯だろと思っちゃいますもんね・・・。(^^;

 

 

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YASUKE YAMURA

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