天蚕の羽化とちょっと切ないオッサンの自由研究

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7月2日に野生の天蚕に遭遇したなんていう話を投稿させて頂きやした。
あっ、天蚕をご存知ないって方は、繊維のダイヤモンドと言われる天蚕シルクについて、7月2日の記事に書かせて頂いているので、そちらもご覧ください。(^^;

実は、その時に、小学校で天蚕飼育をやっていた一番下のチビが、家でも天蚕を飼いたいと言っていた事を思い出し、持ち帰って、ずっと家で飼っていました。それが突然、こんな時期に羽化しました。

僕は天蚕は飼った事がなかったので、大きさからいって、家に持ち帰った天蚕の幼虫は5齢になりたてだと勝手に思い込んでいやした。5齢幼虫と言えば、かなり食欲旺盛のはずなんですが、家の周囲に生えているクヌギの葉を与えても全く食べない・・・。

ひょっとして、家の周囲のクヌギの葉が合わないのかも!?
とも考え、わざわざ、この幼虫がいた同じ木のクヌギの葉を採ってきて与えてみましたが、やはり食べない・・・。病気かな?なんて心配したんですが、2日ほどして脱皮しました。どうやら勝手に5齢だと思いこんでいたんですが、5齢幼虫への脱皮直前の4齢幼虫だったみたいです。どうりで食べなかったわけだ・・・。(^^;

 

脱皮後は、バクバクとクヌギの葉を食べ始めました。(^^)

クヌギの葉を食べる天蚕の幼虫

後ろ足で、しっかりと枝につかまりながら、前足で、クヌギの葉を掴んで食べる様子は、なかなか可愛らしいです。しかも見ていると、葉の根元から、綺麗に半分食べて、それから今度は逆に葉の先から残りの半分を食べていきます。なんとも、お行儀のいい食べ方で、ちょっと感動しました。

また、木の枝の先での方向転換など、言葉ではうまく説明できないんですが、かなりアクロバティックな難度の高そうな動きをします。こんな動きを練習をしたわけでもなく、やってのける事にも感動して見ていました。

 

こうして観察していると、可愛くて愛おしさのような感情が湧き起ってきて、来年も、飼えたら飼いたいな~なんて思っていた矢先に事件は起きました!!

 

ある日の夕方、部屋にオオスズメバチが侵入してきました。あの見た目からして暴力って感じのオオスズメバチが部屋の中をブンブン飛んでるわけですから、なかなかの恐怖です。僕は思わず殺虫剤を噴射していました。殺虫剤の力を借りて、なんとかオオスズメバチを追い詰め、部屋の外へと排除して冷静になった僕は「しまった!天蚕がいた!!」と気づきました。

殺虫剤を撒いたところからは、天蚕は離れていましたので、「大丈夫、無事に決まってる。」と自分に言い聞かせながら、天蚕を見に行くと、いつもと同じようにクヌギの木の枝にとまっていました。「よかったー!」と思ったのも束の間で、頭を振ってもだえ苦しみ始め、いつもと違う動きで枝の上を這い始めました。そして、遂には、枝に掴まっている事も出来なくなってしまいました・・・。

正直、申し訳なくて、子供のように泣きだしたい気分でした。とにかく枝から完全に落ちてしまったら終わりだと思ったので、「頑張れ!頑張れ!」と声をかけながら、落ちないように下から手で支え続けました。夜中の12時を回った頃、その甲斐あってか、なんとか、手を離しても、自力で枝に掴まっていられるようになりましたが、相変わらず苦しいようで、頭を振ったり、おかしな動きをしていました。

午前4時になる頃に、ようやく、おかしな動きがなくなり、午前5時頃に再びクヌギの葉を食べ始めました。この時には大人の僕が「よかった、ホントによかった。」と涙していました。(笑)

 

僕の大失敗による大きな苦難を乗り越えて、この天蚕の幼虫は、その後、成長を続けてくれました。下の写真は繭を作り始める前日のものです。

繭を作り始める前日の天蚕5齢幼虫

 

そして、いよいよ、周囲の葉を寄せ集めて、繭作りが始まりました。

繭作りを始める天蚕幼虫

天蚕の繭作り

天蚕の繭作り

 

7月31日に完成した繭

完成した天蚕の繭

 

天蚕の場合、通常、1ヶ月ほどで羽化すると思うので、子供と一緒に楽しみに眺めていたんですが、9月に入っても羽化せず、やきもきしていました。たまに10月くらいに羽化して飛んでるのも見かけるので、遅れているのかなとも思いましたが、さすがに11月に入っても羽化しないので、繭の中で死んでしまったのかもしれないと諦めていました。それが、突然、今朝がた羽化したようで、朝、起きると蛾になっていました。

天蚕の蛾

天蚕の蛾

天蚕の蛾

 

昆虫の変態には、それぞれのホルモンが関わっています。羽化する場合には、やはり羽化ホルモンが分泌されて羽化が起きます。この羽化ホルモンが分泌されるタイミングは、明暗のサイクルを蓄積した脳から指示が出るようです。

我が家で飼った天蚕は普通の部屋の中なので、夜は当然、明かりが灯っているわけで、この明暗のサイクルが狂ってしまったんだと思います。1ヶ月経っても、羽化しなかったので、慌てて、夜は暗くなる場所に移したんですけど、それまでに脳に蓄積されてしまった明暗サイクルに従って、こんな時期に羽化してしまったんだと思います。

 

もともと蛾になったら、また安曇野のクヌギ林に離してやろうと思ってたんですが、こんな時期では、交尾相手もいるわけないですし、それにこの寒さですぐに死んでしまうでしょう。
この子は、触角の形から、たぶんメスだと思うので、このまま家の中で無精卵を産ませて、寿命を全うさせてやろうと思っています。

 

殺虫剤を撒いてみたり、明暗サイクルに気をつかってやれなかったりで、こんな結果になってしまい、この子には、なんか申し訳ない気持ちでいっぱいです。なんとも、切ない結末になってしまったオッサンの自由研究でした・・・。

 

P.S その後、近所の天蚕農家の方を訪ね、今から羽化できるオスがいないか、
  探してもらっています。お婿さんが見つかれば嬉しいんですけどね・・・。

 

さすがに、この時期で、探して頂いたんですけど、結局、お婿さんは見つからず、今見たら、既に、無精卵を産み付けていました。こんな時期の羽化なので、まさに生き急いでいるって感じです。ほんと、申し訳なかったと、切ない思いで、いっぱいなのだ・・・。

産み付けられていた無精卵

天蚕の無精卵

 

 

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YASUKE YAMURA

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