1度きりの人生を幸せに生きる
幸せを感じるライフスタイルの羅針盤!
 
森の中のちいさなお家
 


突然ですが、北野武監督の「HANA-BI」という映画をご存知でしょうか?第54回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品です。個人的には特に好きでも嫌いでもない作品ですが、受賞当時、北野武監督の「死の哲学を描いた作品が日本よりもヨーロッパでうけた事に驚いた。」といったようなコメントをどこかで読んだ記憶があります。これは死生観でいうと欧米がもともと生の哲学であるのに対し、日本は、もともと死の哲学を持った国ですから、死の哲学を持った国よりも生の哲学を持った国でうけた事に対する驚きのコメントだと思います。

日本は敗戦後、GHQに占領され、その指導の元、民主主義国家になりました。民主主義を取り入れた事自体は良かったと思いますが、その際、もともと日本の持っていた良いものまで、全て捨てさっってしまったように思います。
この時を境に日本は死の哲学から欧米の生の哲学に変わりました。現在、「とにかく生きること自体が尊い。」という感覚を多くの日本人が持っていると思います。もともと日本人が持ち合わせていた死の哲学というと、特攻隊など、何かイメージ的に死を美化したような負のイメージが付きまといますが決してそうではないのです。

みなさなんは「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉を聞いたことがありますか?
この言葉は、江戸時代、佐賀鍋島藩士の山本常朝という人が書いた「葉隠」という書物の中に書かれています。「葉隠」は当時の鍋島藩士の生活の規範書として書かれたもののようです。
確かに太平洋戦争中、軍部は「武士道とは死ぬことと見つけたり」という一節をプロパガンダとして利用して死を美化し、多くの若者を特攻隊などで戦場へ送り出しています。しかし実際に「葉隠」を読んでみると、全く違った内容になっています。大雑把に言えば、「武士たるもの、いつ死んでも恥ずかしくないように、後悔が残らないように、日々精一杯、生きなければならない。」といった、ところでしょうか。他にも内容は、武士の金銭感覚や男女交際にまで、言及して言います。個人的な印象でいうと、書かれていることの大半が、「頑固オヤジの最近の若者(武士)に対する小言」といった感じです。
もともと「武士道とは死ぬことと見つけたり」という一節から、「葉隠」というのは、かなり過激な右よりの書物だと思っていたので実際に読んだときには、あまりに内容がイメージと違っていたため、ビックリしたのを覚えています。

葉隠の中にも書かれていますが、もともと日本人の死生観というのは、「いかにして幸せな死を迎えるか」、「どのような死が幸せなのか」そして、そのような死を迎えるためには「日々、どのように生きなければならないのか」といったように、死という角度から生きることや生き方を模索しているものだと思います。

自分自身の生き方を考える時、ただ単に生きるという角度からだけでなく、もともとの日本人のように「どのような死を迎えるか」といった角度から考えると、また違った生き方が見えてくるかも知れませんよ。


映画ついでに、もう一つ、有名な宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」ですが、こちらは見られた方は、とても多いと思います。 個人的には大好きで、何回も見てしまいました。ストーリーの中に腐海の森という巨大なカビやコケのようなものからなる森が出てきます。この腐海の森は瘴気といわれる有毒ガスのようなものを吹き上げており、人々はこれに生活を脅かされています。そんな中、もともと人類を滅亡の危機にまで導いた戦争で使用された最終兵器、巨神兵を復活させて、腐海の森を焼き払おうという人たちが出てきます。それに対して、ナウシカは腐海の森の奥底で、人々が忌み嫌う腐海の森は実は人類が汚染した大地を浄化している事を発見します。この事に私はとても興味を覚えました。

農業や林業を行う際、病害虫との戦いがあります。
病害虫というくらいですから、病害虫イコール悪のイメージはあります。しかし自然界の動きから考えれば、特に熱帯雨林などがそうですが、単一面積あたりにできるだけ多くの種をはびこらせようとします。多くの種が繁栄することによって、物質の循環がうまくいき、より生物が繁栄していけるからです。ところが農業を行う場合、極端な話、アメリカのコーンベルト地帯など、はてしなくモロコシしか生えていないわけです。これは結果として、土地を痩せさせ、不毛の地を作っていく原因になります。人々が忌み嫌う病害虫の大発生も風の谷のナウシカの腐海の森のように考えれば、人類が農業によって、土地を痩せさせ、不毛の地を作っていくのをなんとか、自然界の正常な物質循環に戻そうという力のように考えられます。それを農薬をまいたりして強引に力ずくで押さえ込んでいるのが人類な訳です。事実、日本でも昔よく植林した松林にマツクイムシが大発生して、山が丸裸になってしまったなんて話を聞きましたが、熱帯雨林で病害虫が大発生して、熱帯雨林が丸裸になったなんて話は聞いたことがありません。専門家は何て言うか分かりませんが、おそらく正しい見方だろうと私は思っています。
かと言って、そうやって農業をやっていかなければ人類は食べていけないわけですから、それがいいとか、悪いとかは私には分かりませんが・・・

ようは角度を変えてものを見れば、同じ事に対しても、全く別の見方が出てくると言うことです。

私も含め、ほとんどの人は自分の常識や思い込みという、一定の方向からものを考え、捉えている傾向があります。 いま現在の自分の常識を違った角度から見つめなおす事によって、自分にとって本当に大切なものや、事、 そして自分にとっての本当の幸せの方向性が見えてくるかもしれませんよ!

 

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